住宅ローン返済中に諸事情で自宅を売却せざるを得なくなった場合、ローン残債のある状態で売却はできるのでしょうか?
今回は、ローン残債のある不動産を売却する方法についてご紹介します。
ローン残債のある不動産売却と抵当権について
抵当権とは
住宅ローンの融資元金融機関(債権者)が、債務者のローン返済が滞った場合にその不動産を売り債権を回収する権利です。
抵当権の抹消方法
抵当権は、住宅ローンの完済によって抹消できます。
そのうえで、法務局で抵当権抹消登記の手続きをしなければなりません。
抵当権のあるままだと、その不動産はローン残債があると判断され、その後融資が受けられず、売却できる可能性も低くなります。
住宅ローン完済後の手続きの流れは以下です。
1.必要書類(住民票、抵当権抹消登記申請書、その他)の準備
2.法務局へ申請
3.登記完了後、法務局で登記抹消を確認する
司法書士が、手続きの委任を受け代行するのが一般的です。
ローン残債のある不動産売却は可能?
アンダーローンの場合
ローン残債が、不動産を売却し諸費用を差し引いて手元に残るお金よりも下回っていれば(アンダーローン)、そのお金を返済に充て完済できます。
ローン残債のある不動産は売却できないのですが、アンダーローンの場合、買主、売主、債権者、司法書士が同席して、同時にローン完済と売却をおこないます。
また、リースバックも利用できます。
売却で得たお金をローン返済に充て、買主に家賃を払うことでそのままの暮らしができ、将来その家を買い戻すことも可能です。
オーバーローンの場合
不動産売却で得るお金よりもローン残債が上回り(オーバーローン)完済できないと、売却はできません。
自分の預貯金でカバーしてローンを完済できれば、売却に支障はありません。
住み替えローンで、新居のローンにローン残債を組み込む方法もあります。
この場合は売却する家の抵当権の抹消と、新居の抵当権設定を同時におこなう必要があります。
最後に任意売却という方法があります。
金融機関(債権者)に許可を得て抵当権を抹消して売却します。
売却で得たお金を返済に充て、足りない分は引き続き返済しなければなりません。
注意点は、任意売却ではローン滞納でブラックリストに載り、今後の融資が受けにくくなることです。
ローン残債のある不動産売却での注意点
ローン返済中の買い替えなら、売り先行
売却で早めに完済でき、お金が余ったら新居への購入資金に充てることができます。
注意点として売却引き渡し後も新居が決まっていないと仮住まいの場所が必要になるため、家の売却活動と新居探しは並行して進めるのが理想です。
築年数で価値が下がる
建物は、築年数が長ければ価値も下がります。
ローン残債の物件を売却しても損益(譲渡損失)となる可能性もあり、当てにしていたお金が入らない場合もあることが注意点です。
譲渡損失の場合、確定申告すれば税金控除を受けられるほか、他にも控除の特例があるので確認することをおすすめします。